15年目の不倫
『早く帰ってきてね』
あれを見てしまった瞬間の事は半年以上たった今も思い出す。
全身から汗が吹き出してきて、心臓はバクバク。
手は震えて頭の中は
何?え?何これ?わかんない。嘘だよね?
理解するのにどのぐらい時間たったか分からないが、自然と涙が溢れた。涙を流しながら見てはいけないと思いながらも私は主人のLINEを開いていた。
結婚したのは15年前。
職場で出会い、結婚した。子供は2人。
結婚当初はお金もなく2人で頑張って毎月ギリギリの生活。外食なんて行けるワケもなく。。。
でも頑張った。2人で。頑張って頑張ってやっと家を建てることが出来て仕事も軌道に乗ってきた。やっとここまで来れた。。。
そう思っていたのに。。。
最近冷たいなとは思っていた。
長女の思春期が始まりその事で主人とギクシャクしてたのもある。
でも、ご飯の時間には帰ってくるし外泊もなかった。
増えたのは上司との食事会が増えたことぐらい。
仕事が軌道に乗りはじめ大事な案件もあったので何も不審に思わなかった。
それぐらい信用してた。
全てがわかったのは夫婦の長年の夢であった海外での仕事が成功した夜。
私も一緒に海外について行ってたので久しぶりの夫婦2人での時間。
職場の人達とお祝いの会が終わりホテルの部屋に帰った。
本当に幸せだった。やっとここまで来たんだ。
この機会に夫婦で話し合ってまた仲良くしよう。
シャワーを浴びながらそんなコトを考えた。
シャワーを浴び終わって部屋に戻ると主人は疲れ切って寝てしまっていた。
手元には携帯。YouTubeを見たまま寝てしまったらしく動画が再生されたまま。
充電器にもささっていない。
何も考えてなかった。
明日も朝早いのにアラームはかけたのだろうか。
充電はしなくていいのだろうか。
動画止めてあげないと。
お疲れ様。おめでとう。
そう頭を撫でながら携帯を主人の手から取った。
その瞬間。
ピコン。
LINEの通知画面が現れて私は間違って押してしまったらしい。
LINEの通知画面には沢山の友達や親族から祝福のLINEが入っていた。
凄い数だった。
すごい祝福の数。。。これに返信するのは大変だろうな。
そんなことを考えながらアラーム画面に戻ろうとした瞬間。。。。
『早く帰ってきてね』
あきらかに祝福のLINEとは違う文字が見えた。
瞬間、全身から汗が吹き出してきて、心臓はバクバク。手が震えた。
頭が混乱する。
これは何なのか。
誰?
聞いたことのない名前だった